カップリング妄想

 4/14発売予定のニュー・シングルについてはまだいろいろとはっきりしないことがある。例えばamazon.co.jpでは、限定盤は「ナチュラルに恋して(初回限定盤)(DVD付) Perfume (CD - 2010)」となっているのに、通常盤のほうは「タイトル未定(通常盤) Perfume (CD - 2010)」のまま。すでにいろんな人が言っていることだろうけれど、このシングルのタイトルとなるのは『ナチュラルに恋して』ではなく、そのカップリング曲のほうなんじゃない?ということなのだ。カップリング曲の全貌は4/1のPerfume Locksでの宇宙初オンエアまで確認するすべがなさそうなので、『ナチュラルに恋して』について思うことなどを少々。
 まず歌詞。ここしばらくのシングル曲にしてはめずらしく、歌詞の行間に暗示されている内容、明示されていない部分に妄想を膨らませられる余地がほとんどない。これはタイアップ曲ということも関係しているだろうけれど、妄想家/深読みストにとってはなんとも物足りない由々しき事態だ。ただし曲自体はポップでキュート。PVも楽しいし、CMソングにふさわしくたいへんキャッチーでよろしい。
 次に曲調。Perfumeの曲としては圧倒的に少数派な非4つ打ち。ちょっと気になるのは、いわゆる「Perfumeファン」というような言葉で一括りにできるような層にとって、こういう非4つ打ちミドルテンポのファンク・チューンっていったいどうなの?ということなのだ。ライブでもっともファンが盛り上がるのは『チョコレイト・ディスコ』『ポリリズム』など鉄板4つ打ち曲で、それに対して棒立ち率が高いor演歌テイストの手拍子がせいぜいなのが新曲同様非4つ打ちファンク・チューンの『Kiss and Music』なわけだし。これはたぶん、Perfumeのライブに来るような層(おそらく年齢的に若い人たち)にとってそういう音楽体験が乏しいからなのか、いやもちろんこれは単なる推測、違ったらごめんなさい。現在十代二十代の人たちがどういう音楽を聴いて育ったかなんて、TVも見なけりゃヒットチャートにも関心ゼロな人間にとって正直なところ想像すらできなくて、ただ彼らにとっていちばん盛り上がるのがわかりやすい4つ打ちだということだけはライブに行けば歴然としている。これはいかなる音楽文化圏に生息しているかとかそういう話で、4つ打ち文化圏に生まれ育った住人をいきなり非4つ打ち文化圏に放り込めばそりゃ戸惑うだろう。『ナチュラルに恋して』も、ファンクラブ・トゥワーではお披露目的な意味もあってかなんとなくもやっとした盛り上がりをみせていたけど、今後のライブではどんなものか。
 さて次はカップリング予想、というよりむしろ妄想。まず言えることは、中田ヤスタカがシングルのカップリング曲をセットで一つの作品として提示する傾向が強いということ。少なくともここしばらくのPerfumeに関しては。例えば『Dream Fighter』のカップリングに、あのなんとも残酷で苦い『願い』を持ってくる人なのだ。ならば非4つ打ちという以外はおおむねわかりやすい『ナチュラルに恋して』のカップリングは、よほどひねくれた曲になるのではないかと期待するのがへそ曲がりの定石というものだろう。その方向性は『Edge』とも『願い』ともまったく違うベクトルにねじれるような気がしている。これは個人的な願望。とはいえニュー・シングルのメインはカップリング曲の方に違いないという印象は変わらないし、そうとう過大な期待をしてもいいように思う。はてさて。
 そうそう、ぜんぜん関係ないけれど、ナチュラルに恋して』の「『フォー』という音の部分(大本談)」、どっかで似たようなものを聴いたことがあると思って記憶をぐるぐると辿っていたら、Ambitious Loversの『Copy Me』だった。『Greed』は今聴きなおしても掛け値なしの傑作。