平行線

 永遠に交わるはずのない平行線をもうすこしの勇気でもって最初にねじまげてみせたのは大本さんだった。
 もしかすると彼女はこの世界のスイッチを押してしまったのかもしれないけれど、それで世界が消えたとしても一番大事な気持ちに嘘は付かないと決めたのだからこれはもうしかたがないことなのだ。
 『願い』という曲に中田ヤスタカが込めた言霊(あるいは呪い)に背中を軽くぽんと押されて今世界はねじれはじめた。でもそれが三人にとって、いつも後回しにしてきた本当の願いをかなえることにつながるのならばそれはそれでいいじゃない。