戸田落選

 戸田落選。ま、当然ですよね、ええ。
 Bグループは横アリ二日目のみ二枚申し込んでいたんだけれど、こちらはかろうじて当選。(どうせPTA枠なんてまたケシ粒ぐらいにしか見えないひどい席だろうけど)
 あー、ツアーは十月までお預けってことだな。
 あとは横アリ二日目のチケットの一枚を一日目と交換してくれる人を探そう。ってまだまだ先の話だ。

 ところで、Bグループはすぐに結果が出たのに、Aグループのみずっと「抽選エントリー中」のままで、ようやく結果が反映されたのが16:04ぐらいだったのはいったいなんだったんだろう。ローチケのシステム・トラブルっすか。落選なら落選でさくっと知らせろや。まったくもって蛇の生殺しもいいところ。

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 追記。都市伝説とわかりつつアミュモバで戸田の申し込みをしてみる。戸田などというものはそもそも地図に書いていてないはずの町なので見当たらなくて当然といえば当然なんだがここは往生際悪く!
 
 

落としどころが

 タイトルの落としどころが普通すぎて思わず腰が砕けまくったニュー・アルバム『⊿』の読み方は「トライアングル」だそうです。あれだけ期待を煽りまくっておいて、このスカしっぷりの豪快なこと!
 ちなみに「トライアングル」と聞いて連想したのがコレ。


Wikipediaより引用
トライアングル (アイドルグループ)

トライアングルは日本の女性アイドルグループである。
1977年、キャンディーズの解散表明後、「キャンディーズの妹分」としてキャンディーズJrという名前で結成されたが、熱狂的なキャンディーズファンの猛反発を受け、トライアングルに改名。(以下略)


 大里会長のアミューズだしねえ。いや、ぜんぜん関係ないだろうけどさ。

 

蜜月

 以前のエントリーで次のようなことを書いた。

中田ヤスタカのようなひねくれた(かつある意味高い志をもった)人が、もはや売れて当たり前の存在になってしまったPerfumeに売れて当たり前の楽曲を提供し続けることをよしとするかどうか。それは彼の矜持の問題なのだ。


 ようするに、とりあえず売れちゃったPerfumeに楽曲を提供するようなことは、中田ヤスタカとしてはもうおもしろくもなんともないのではないか、という意味合いだったんだけれど、少なくともニュー・アルバムのタイトルを見る限りは中田さんノリノリじゃないですか。
 前作の『GAME』というタイトルを推したのは中田氏で、プレゼン時にPerfumeの三人も「そうそう『GAME』って感じしてた!」ということを言ったにしろ、実際にはプロデューサーの直感に同調したということだと思われる。そして今回もそれは同様だったという前提で話を進めたい。
 直感の人・中田ヤスタカが、極めて行き当たりばったりで単なる思いつきであるような(かつプロモーションしづらい)タイトルをあえて推したとするならば、これは相当に自信があってのことであり、そんなタイトルを冠されたアルバムの出来が悪いはずはない。そして既出の曲とのバランスから、新曲はシングルでは出せないラインの曲が占めることを期待させるにじゅうぶんだ。だってこれはそういうタイトルだもの。
 出せばオリコン一位を期待されて当然であるようなマスに向けた商品にマイノリティから生まれた音楽のラディカルな部分をいかに落とし込んでゆけるのか、ということに中田ヤスタカの興味は移っているように見える。そしてそれは代々木ライヴにおける『YoYoGi Disco MIX』(だれがどういう意図でリミキサーを選定したかはわからないが)とも確実にリンクしている。
 純粋に音楽的な実験なら他にいくらでもするところはあるが、それを巧妙に落とし込んだ音楽がマスにどこまで受け入れられるのか、そのぎりぎりのバランスとはどこなのか、あるいはその閾値をさらに押し広げることが可能なのか。今それを試すのにPerfumeほど最適な実験場は他にはないだろう。
 アミューズの思惑、徳間ジャパンの思惑、プロデューサーとしての中田ヤスタカの思惑、そしてPerfume三人の思惑がどういう力関係で作用しているのかは別として、現在(そして今後)の方向性はニュー・アルバムのタイトルによって明確に表明されたと考えていい。今回このタイトルが通ったという事実はなかなかに大きな意味合いを持っているに違いないし、中田ヤスタカPerfumeの蜜月は思ったよりも長く続きそうな気がしてきた。

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 ジャケットは白地に黒の「⊿」だけでいいよね。通常盤と限定盤は白黒逆とか。このラインだったら三人の写真はいらない。(Raster-Nortonから出ているAlva Notoのアルバムみたいなイメージ)

 

二周年記念パーティー

昨日(24日)は近所のカフェ、というか、まあカフェなんだけどフリージャズ/即興系のアナログが山ほどあってそれをいい音のオーディオで井の頭公園を7Fから眺めながら聴けてワインもコーヒーもおいしいというすばらしいお店の開店二周年パーティーにお邪魔してきました。
ここの店主さんは、今はなき六本木WAVEの立ち上げにかかわったり、まあこれも大昔だけれどPARCOのピエール・バルーが出ていたCMを制作したりしていたりという人で、定年退職してから自分の今まで集めたアナログ盤を自分だけで聴いていてもしょうがない、若い世代に伝えなければというポトラッチの精神でこのカフェ始めたもので、開店当時から少なくとも月に一度は伺っていろいろ勉強させていただいてます。
家賃を払えば儲けはまったくなし、むしろ赤字という状態なのにもかかわらずお店を続けていて、なんだか本当に贈与の精神なくしてはやってられんだろうなーと思う。
狭いお店に三十人以上の需要は少ないがコアな音楽を愛する人たちが集まって、これまでに顔を合わせたことのある人もいれば初めて会う人もいて楽しい。
ええと、某マンガ家の方が来ていて、おれはこの人の作品を知らなかったので話さなかったけれど、やはりそうとうの音楽好きらしく作品にいろんな音楽がモチーフとして使われているみたいで、ええと『船を建てる』という作品があって、それってワイアットの『Ship Building』じゃん!とその筋の音楽好きだったら笑っちゃうようなタイトル!
そんなこんなで、がっつりワインを飲み過ぎてへろへろしながら帰宅。
ネットにアップされていた『シャンデリアハウス』(TVはない)を見ながら、酔っぱらってるもんだからのっちのアホっぷりが異様におかしくて真夜中なのに声出して笑う。ハハ……ハハハ……ハ(誘い笑い
んで、見終わる前に吐き気をこらえつつ気絶。ああ。
泉さん、これからも体をお大事に。できるだけ長くお店を続けてください。なるべくお金を落としに通うようにします。

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今月はある意味ライヴ月間で、邦楽はPerfume、洋楽はMagmaという、個人的ランキングそれぞれ一位なライヴ・アクトを二日ずつ観に行くというたいへん贅沢な月なのです。
Perfumeのライヴでは涙腺がゆるんで泣いちゃうが、やっぱりMagmaでも泣いちゃう(キモい)。そのぐらいに思い入れがあるんだ、Magmaには。
Magmaの音楽、というかクリスチャン・ヴァンデの音楽には確かにマジックがあって、毎回そのテンポと音階そしてハーモニーに翻弄される。
ぐるぐる振りまわされてじらしにじらされて最後の最後に爆発するあの開放感。
なんてことを思うのはヲタヲタしい一部のプログレ・ヲタだけなんだろうけどね。
今回は、成長著しかったヴォーカルとコーラスをしていたその妹、そしてキーボードのメンバーが抜け、それに替わる新メンバーとのことで、若干不安材料はあるものの、まあだいじょうぶでしょう。
27日・28日の二日間。クリスチャン・ヴァンデのソロは見送り。
 

『SEVENTH HEAVEN』その後

Dream Fighter』と『願い』が分裂してしまった二つの思いをテーマとし、『23:30』と『ワンルーム・ディスコ』が(シチュエーションとしては直線的につながらないものの)別れる前の鬱屈と別れた後の不安を歌っていたように、ここしばらく中田ヤスタカPerfumeに提供する楽曲は別々の曲が一つの世界を補完しあって表現をより深めてゆくというパターンが増えている。
そうした観点から聴くならば、『NIGHT FLIGHT』もやはり双子の片割れであり、対になるもう一曲が存在することに思いあたる。


『NIGHT FLIGHT』の歌詞でもっともコアとなるのは間違いなく「いつもと違う角度から見る キミはなんだかステキ」というフレーズであり、このまったく非凡な一節を引き立たせるために、前後の歌詞はあえてありふれた背景としての役割を与えられているかと思えるほどだ。
この、一瞬の眼差しの角度ですべての関係性を語り尽くしてしまうような表現。
それを私たちはすでに『SEVENTH HEAVEN』で経験している。


「わたしの斜め上 やさしく見下ろして おでこを撫でるの ああ」
「わたしの斜め上 その距離が遠くて 近づけないけど ああ」


少し距離をおいて並んで歩くのがせいいっぱいで「わたしの斜め上」にキミの顔を見上げるだけだったその眼差しの角度は、『NIGHT FLIGHT』で今まで経験したことのないような「いつもと違う角度から」キミを見つめるという視線へと変化する。
そこに暗示されるのは、男性の欲望では決してなく、女性の視点からのセクシュアリティだ。
SEVENTH HEAVEN』で語られた物語の後日談と読むことで、何気ない眼差しの角度に関する一節は、ありきたりな言葉を装いつつもあえて具体的に説明されないことで、その行間に膨大なイメージを喚起する。
まったくなんという歌詞を書くのだろうか、中田ヤスタカという人は。


SEVENTH HEAVEN』で「もしもね この願いがちゃんと叶うなら」と語られた(胸のうちに秘められた)願望は、『NIGHT FLIGHT』では「空がキラキラ 夢じゃないんだね」とすでに現実のものとなった。
今のわたしは「はじけて消え」るどころか、「あの子には負けないわ」とあくまでもアグレッシヴだ。
恥らう少女は「恋愛に対する攻めの姿勢はぶれない(2009/05/09:シャンデリアハウス)」というオトナの女になったのである。




【補足】
『NIGHT FLIGHT』と『SEVENTH HEAVEN』が双子の片割れ同士であることを示す共通点は、その眼差し以外にもいくつかある。
「きっとそのまま宙へ 昇っていくの天国へ」(『SEVENTH HEAVEN』)/「雲より高く」「星空を越えて」(『NIGHT FLIGHT』)という明確な上昇の隠喩。(もちろん『NIGHT FLIGHT』は飛行機に乗って空を飛ぶことについての曲ではない)
そしてタイトルが二つの英単語の組み合わせであり、かつすべて大文字で表記されるのは、Perfumeの楽曲中この二曲のみだ。(中田ヤスタカが、アルファベットの大文字/小文字の使い分けに相当なこだわりがあることは、例えば『Baby cruising Love』でも明らか)


代々木のライブにおいて、『SEVENTH HEAVEN』→『NIGHT FLIGHT』と演奏された曲順は、圧倒的に正しく、それのみならず意図的なものであったに違いない。

 

いつもと違う角度から見るキミは

pinoのCM 60秒Ver.が公開されたわけですが、30秒Ver.のときからうすうす感じていたものの、『NIGHT FLIGHT』の歌詞はそうとうにエロティックだ。
これは深読み云々という以前の問題で、いちいち解説するまでもなく、もうエロystk全開。
「いつもと違う角度から見るキミはなんだかステキ」などという歌詞を、よくもPerfumeにしれっと歌わせやがったものだ。
このエロっぷりは、フランス・ギャルに曲を提供していた頃のセルジュ・ゲンズブールに匹敵するんじゃないか(もちろんああいう悪意はないにしろ)。