バージェス、ペレーヴィン、リョサ
たまには他の話題も。というか、けっこう長いこと小説がなかなか読めなくて、買った本（古書ばかり）はひたすら積読のまま……という悪循環だったのだけど、ここ数ヶ月ようやくつるっと読めるようになってきたので、いちおう読書メモということで。
まずアントニイ・バージェス。この人も日本では『時計仕掛けのオレンジ』以外はさっぱり読まれない人ですね。そもそもかなりの多作な人なのだけど、翻訳されているのは小説が十冊ちょっと、評論がたぶん三冊ぐらいか。Amazonで確認する限り絶版になっていないのは『時計仕掛け〜』と評論の『シェイクスピア』の二冊だけ。まあそんなもんですよね。
この人の書く小説は『時計仕掛け〜』に見られる言語実験も含めてたとえばジョイスなんかを通過した世代に特有の手法へのこだわりは持ちつつも、同時に古典的といってもいいぐらいの小説というものに対する信頼というかね、かっちりとしたストーリーを書く人なのだよね。だからバージェスの長編小説を読んだら、ちゃんと「ああ、長編小説を読んだな」という満足感があってそこがよいのだな。日本でいったら丸谷才一みたいな感じか。評論家の書く小説はつまらないものだけれど、バージェスも丸谷才一もおもしろい小説を書くし、長編小説らしい長編小説を書くし、ジョイスの影響が大きいし、みたいなところでなんとなくイメージが重なる。
未読のバージェスの小説は何冊も溜まっているなかで、今回読んだのは『聖ヴィーナスの夕べ』と『見込みない種子』の二冊で、両方とも楽しんで読んだんだけれど改めて感じたこととしては「この人はずいぶん男性的な価値観の持ち主なのだな」みたいなことだった。たまたまかもしれないけれど、二冊とも多産だとか豊饒を賛美するようなテーマがあって、これもたまたま両方に登場する「そうでない人」に対してはどうも扱いが手厳しい。バージェスにとって「そうでない人」は多産や豊饒の対立概念ということなのかもしれないけれど。で、もちろんそういうテーマ（思想）が悪いということではまったくなくて、そこがちょっとひっかかるのはむしろこちらの問題かもしれんね。バージェスの小説はどれもおもしろいし読み応えがあるのだから（『どこまで行けばお茶の時間』あたりはちょっと特殊なので例外）、もうちょっと広く読まれても良いと思うよ。
次はアレクサンドル・ペレーヴィン。ロシアのターボ・リアリズムを代表する作家、でいいのかな。なんなんだターボ・リアリズムって、という話ももちろんありますが。
今回読んだのは『恐怖の兜』と『眠れ』の二冊。『恐怖の兜』はギリシャ神話をモチーフにボルヘス的な世界を狙った作品なのだが、どうにもこうにも不発な感じ。ロシアでずいぶん売れたという短編集の前半を収めた『眠れ』はおもしろい作品もあればつまらない作品もあるが、個人的ベストは冒頭に収められた『倉庫ⅩⅡ番の冒険と生涯』で、ここにはゴーゴリの『外套』に匹敵するおかしみと清冽な詩情がある。これはよい作品だ。
最後はマリオ・バルガス=リョサの『パンタレオン大尉と女たち』。この人はペルーの作家で、大統領選挙に出馬してフジモリに破れたりなんて経歴の持ち主。リョサもずいぶん昔に『緑の家』を読みかけて途中で放り出してしまった以来だったのだが、これはたいへん楽しんで読んだ。内容はコミカルなんだけれど、表現は報告書・請願書・新聞記事等の文章、および異なる場所で異なる人たち交わす会話がなんの区切りもなく並列されるという実験的なものだが、ぜんぜん読みにくいということはなくてその手法になんの違和感もないあたりはさすが。主人公パンタレオン大佐の生真面目さがおかしくてげらげら笑いながら読めて読後感はちょっとほろ苦い。リョサも未読の小説が何冊も溜まっているので、次は『フリアとシナリオライター』を読む予定。
一連の諸々
一連の諸々でPerfume側はじゅうぶんにメリットがあったと思うのよ。少なくとも大本さん樫野さんの二人は既成事実という免罪符を手に入れて今後はいろんなことがより自由になるでしょう。よかったよかった。
それに引き換え今回のチャンスをみすみす逃してしまったのが西脇さん。せっかく『FRIDAY』が悪者役を買って出てくれてダメージも最小限に抑えられる絶好の機会だったのに、これ以上の痛恨事ってなかなかないと思うよ。大本さん樫野さんが新しい場所へ確実にその一歩を踏み出せたのに対して、「やっぱりあ〜ちゃんだけは別」というもっとも残念なファンのもっともお粗末な妄想が彼女一人にどんよりと重ったるく吹き溜まってしまった。かわいそうに。うまくすれば三人そろって新しい場所にだって行けたのにね。
今回のTeam Perfumeは「取るに足りないノイズはスルー」というラインにぶれがないたいへん大人な対応でした。それをスルーしきれなかったP.T.A.でのメッセージは三人の若さというものでしょう。
よい流れ
これはとてもよい流れなんじゃないだろうか。冗談でもなんでもなくまじめな話。
これまでの十年間Perfumeとしての活動を最優先するがあまり本当の願いを封印してきた自分自身を裏切っていくこと、それ以外にここから先へ進む道はない。いったんできあがってしまった平行線のその安定した角度を変えていくにはやっぱり一人だけの力じゃだめなんだ。三人合わせてPerfumeです！っていうしね。
『願い』はPerfumeの歴史に打ち込まれた楔であり、そこからすべてが変わり始めた。今後その変化はさらに速度を増すだろう。そのありふれない速度のなかで二つに分裂してしまった自分自身をしあわせなかたちで統合していくことができるかどうか。それがすべてなんだと思うよ。
Baby cruising Joy [mashup]
今回初めて、今まで使っていたRadioLineではなくてREAPERで作業してみた。確かに機能が限られているRadioLineよりずっと使い勝手はいいし時間も短縮できるけれど、最初からREAPERを使おうとしていたら機能が多すぎてなにから手を着けていいかすらわからなかっただろうことも確か。なにごとも金をかけりゃいいというものでもないですわな。
それにつけても『マジカル☆シティ』はほんとうによいラジオ番組だった。のっちの罰ゲームとか罰ゲームとか罰ゲームとか。――というようなことを懐かしむmashupということで。
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Baby cruising Joy [mashup]
Perfume "Baby cruising Love" + Rei Harakami "Joy"
今回YouTubeは、なぜか最後の三秒ぐらいが切れてしまった。尻切れトンボ。YouTube側のサーバ・エラーというかエンコード・エラーというか。再アップしようかとも思ったけれど、すでに評価をつけてくださった方もいたのでこのままにします。すみません。
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ニコニコ動画のほうは音楽制作者連盟による削除を避けるために写真の人物部分をかなり暗めにしてみたんだけれど。はてさて、削除を免れますことやら。
6/12（fri）Club Perfume Vol.2〜Night Flight
告知でスミマセン。直前になりますが、6/12（金）新宿CLUB ACIDで行われるイベント「Club Perfume Vol.2」で性懲りもなくDJらしきことをさせていただきます。時間は20:20からの20分。トイレ休憩的な感じでぐいぐい盛り下げてフロアを冷え切らせたいと思いますので、お都合つく方はなにとぞよろしくお願いいたします。
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Club Perfume Vol.2〜Night Flight
6/12(fri )19：00〜24：00
PLACE:新宿CLUB ACID(新宿区新宿2-3-12コーワビルB1F)
TEL:03-3352-3338
charge:2000yen（1ドリンク込み）
DJ:TEKUNOTTE774、kenｊ、b-m、みる坊、J、しくしく、Gakkey、たまちゃん、ちばちゃん、けい、KNOB吉井、parakeetclipshot
LIVE ACT：プラスティック・スタイル（コピーバンド）、梨P（コピーバンド）、セラミックボーイズ（コピーバンド）
19：00 DJ-P
19：20 梨P（LIVE）
19：40 けい
20：00 parakeetclipshot
20：20 TEKUNOTTE774
20：40 たまちゃん
21：00 Plastic Style （LIVE）
21：20 Gakkey
21：40 knob吉井
22：00 セラミックボーイズ（LIVE）
22：20 ken j
22：40 ちばちゃん
23：00 b-m
23：20 しくしく
23：40 みる坊
00：00 イベント終了〜打ち上げへ移動
新宿CLUB ACIDホームページ
http://www.acid.jp/
