歌詞を深読み『23:30』

3/25発売予定Perfumeニューシングル『ワンルーム・ディスコ』のカップリング『23:30』の歌詞を深読みしてみる。
深読みスト的には『23:30』のテーマは不倫であると解釈したい。


まずはタイトルでもある23:30とはなにか?
主人公(以下彼女と呼ぶ)は家庭を持つ男性との関係を続けており、彼は妻の待つ家に必ず帰らなければならない(外泊はできない)。二人が一緒にいられるタイム・リミットが23:30なのだ。
どんなに「楽しい夜でも」23:30にはその魔法は解けてしまう。


「どれほど過ごせばひとつになれるの」という表現は、二人の付き合いがすでに短くないこと、そして彼女がひとつにしたいと望んでいるのは「二人のココロ」であるということを示している。
「二人のココロ」がひとつになれないのは、彼が妻との離婚を考えていないからだ。
より説明的に言い直すならば「カラダはひとつになれてもココロはひとつになれない」ということ。中田ヤスタカはそんな野暮な表現は絶対にしないけれども。


「ふたりは眠らない 時間を求めて」も「やわらかい温度で 包まれたいのに」も、23:30以降の決して一緒にいられない時間帯についての願望だ。
「遠くにいたくない」というのは、多くの時間を彼と共に過ごせる妻とは違って、彼女はほとんどの時間を遠くで過ごさなければならないことを逆説的に表現している。


「変わらない 終わらない 何かを探すの」と安定した新しい環境をぼんやりと望みつつも、家庭を捨てるつもりすらない男と別れる決心を彼女はまだすることができないでいる。
「そうねえ……そうねえ……」という曖昧なダイアローグを繰返して曲は終わる。

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設定が異なるので直線的にはつながらないものの、『ワンルーム・ディスコ』が別れた後、『23:30』が別れる前をテーマにしていると考えて聴けばより深みが増す、というのがカップリングの妙でありそして中田マジックだろう。

それにしても、どちらもずいぶんオトナな歌詞ですわよね。
Perfumeにとって処女性というイメージはもう必要ないという明確なメッセージと考えたい。